アーン アウト 条項。 「アーンアウト」とは何か? 企業M&Aの価格を決める新たな手法

アーンアウト条項とは

アーン アウト 条項

たとえば、買主は、売主(対象会社の創業者といった経営者株主)に対して、株式譲渡契約の効力発生日(クロージング日)に一定の金額を支払い、その後、一定の期間や時点における経営指標が目標とする経営指標を達成した場合に、買主が売主に対して追加であらかじめ合意された確定金額や目標とする経営指標の達成度合いに応じた金額を支払う、と規定されるのが通常です。 我が国においては、アーンアウト条項が規定される例は必ずしも多くはないものの、最近ではITやヘルスケア関連事業を営む非上場のスタートアップ企業の買収の際にアーンアウト条項が設けられる事例も出てきています。 アーンアウト条項に基づく調整金の所得税法上の問題 このアーンアウト条項に基づく調整金(以下単に「調整金」といいます)が実際に支払われた場合、売主である経営者株主においてどのような課税関係が生じるのかという点について、近時議論されています。 具体的には、経営者株主が株式譲渡契約上の特定の条件を満たして調整金の支払いを受けた際の当該調整金の所得区分が問題となります。 所得区分によっては、経営者株主側の課税に大きな影響を与えます。 たとえば、非上場株式の株式譲渡においてアーンアウト条項が規定されていた場合、買主から売主に対して支払われる調整金が「一般株式等に係る譲渡所得等」に区分されると、原則として20. 315%(地方税含む)の申告分離課税となりますが(租税特別措置法37条の10第1項)、他方で、一時所得(所得税法34条1項)や雑所得(同法35条1項)に区分されると、他の所得と合算され、通常の所得税の税率で課税されることになります(ただし、一時所得の場合には、50万円の控除があり、かつ、所得金額の2分の1のみ課税されるという優遇措置があります)。 調整金の所得区分 まず、買主が売主に対してクロージング日に支払う金額は、株式の譲渡所得等として区分されることに疑義はありません。 この点について、国税不服審判所平成29年2月2日裁決は、クロージング後の対象会社のEBITDA業績値に応じて買収対価の一部を支払う旨の条項に基づいて支払われた調整金は、譲渡所得に該当することを前提とし、譲渡所得がいつの時点で実現したのか(クロージング日か調整金を受領した日か)について判断しています。 しかし、当該裁決は、当該条項に基づく調整金を満額支払われることを想定して設けられたものと評価していますので(その結果、後払いとされている金額を含めてクロージング日に譲渡所得が実現したと判断しています)、満額支払われることが想定されているものではないアーンアウト条項に基づく一般的な調整金にまで当該裁決の考え方が妥当するのかという点については議論があり得ます。 また、調整金が雑所得に区分されるという考え方を示唆するものとして、大阪高判平成28年10月6日が挙げられます。 同判決は、特許を受ける権利の持分の譲渡契約において、一定の事由を達成した場合に売主に支払われる金員(マイルストーンペイメント)は譲渡所得ではなく、雑所得に区分されると判断しています。 同判決の中では、「当該資産の所有権その他の権利が相手方に移転する時に客観的に実現が可能になったということのできない権利は、当該資産に係る譲渡所得に当たらないというべきである」とし、マイルストーンペイメントについて、移転時に客観的に権利の実現が可能になったということはできないので、譲渡所得に当たらないと判示しました。 また、同判決はマイルストーンペイメントは資産の譲渡と密接に関連していることから、一時的な所得である一時所得にも該当しないと判断しています。 そして、同判決は、マイルストーンペイメントは譲渡所得に該当しないものの、「資産の譲渡の対価としての性質」を有する所得として、雑所得に該当すると判断しています。 同判決を前提とすると、一般的なアーンアウト条項に基づく調整金は、クロージング日において客観的に権利の実現が可能になったとはいえないと思いますので、譲渡所得に該当せず、かつ、株式譲渡に密接に関連しているため、一時所得にも該当せず、雑所得に該当するとの結論になる可能性も否定できません。 ただし、同判決のような特許を受ける権利の持分の譲渡と、株式譲渡を同様に考えてよいかという点には疑問もあります。 以上のとおり、調整金の所得区分については、様々な考え方があり、それぞれの案件におけるアーンアウト条項の法的性格によってどの所得区分になるかが判断されることになります。 実務上の留意点 アーンアウト条項は、冒頭で説明したとおり、取引をより成立しやすくするツールとして利用されつつあります。 もっとも、一口にアーンアウト条項と言っても、それが設けられた経緯、指標の設定方法、調整金の割合などは案件ごとに様々であって、その税務上の取扱いも一律に考えることはできないように思われます。 また、本稿では触れませんでしたが、調整金を支払った買主においても、調整金相当額を株式の取得費・取得価額に加算すべきなのか、一時の費用として必要経費・損金として処理してよいのか、という税務上の論点があります。 アーンアウト条項を設ける際には、その経済条件のみならず、税務上の取扱いも慎重に検討しておくべきであると思われます。 以上 執筆者紹介• 16)』国際税務Vol. 35 No. 35 No. 8・No. 9(共著) 2015年8月 『期間短縮・わかりやすさで選ぶキャッシュ・アウトの手法』ビジネス法務Vol. 15 No. 8 2015年2月 『税理士のための契約書チェック講座 事業譲渡契約』税務弘報Vol. 63 No. 2019)(共著) 執筆者紹介• 弁護士法人 森・濱田松本法律事務所 弁護士 パートナー 高松オフィス代表 小山 浩 () 略歴 2001年 早稲田大学法学部卒業 2003年 早稲田大学法学研究科修了 2006年 中央大学法科大学院修了 2014年 ミシガン大学ロースクール修了(International Tax LL. ) 2016年 東京国税局調査第一部 調査審理課へ国際調査審理官として出向(〜2018年) 2020年 弁護士法人森・濱田松本法律事務所高松オフィスを立ち上げ、代表に就任 近時の主な著作 2020年2月 『非上場会社株式の評価損について』週刊税務通信 No. 19 No. 12 2019年9月 『設例から考える国際租税法』中央経済社(共著) 2019年8月 『新・行政不服審査の実務』三協法規出版(共著) 2019年6月 『多様化する事業承継手法の全体像』税経通信 Vol. 74 No. 7 2019年5月 「具体的な開示例が示され、利便性が向上 経産省『「攻めの経営」を促す役員報酬』改訂の概要」ビジネス法務 Vol. 19 No. 7 2019年5月 『近時の企業実務上留意すべき租税裁判例・裁決例の解説』租税研究 第835号 2018年12月 『償却費の損金算入開始時期について』週刊税務通信 No.

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アーンアウト条項に基づく調整金の税務上の取扱い

アーン アウト 条項

アーンアウトとは何なのか解説していきましょう。 対してアーンアウトとは、 企業買収による買収金を一括で払わずに分割で払うことをいいます。 別の考え方であると、アーンアウトとは「価格調整金の扱い」ともいえます。 やはり、 買収先の業績がどう転ぶかは誰も予想がつかないわけです。 そこでアーンアウトでは、一部についてはじめにまとめて支払い、その後一定の基準をクリアした場合、例えば「数年後売り手側の営業利益が〇〇億円達成した」場合などの際に、 残りの分は利益を上乗せして支払いましょうという方法が可能になります。 このように、買収先企業の今後の成長を見込んで その後追加分の利益を支払う義務をアーンアウトと呼びます。 しかし、後述でも解説しますが「アーンアウト条項」というものがあれば、条件達成の状況によっては 当初よりも多くのお金を手に入れられる可能性がある、というメリットがあります。 つまり、売り手側企業のメリットとしては ボーナス的な追加のお金も大きくなるということです。 その際、売り手側も経営に関わることを継続させる条件があります。 事業がうまくいけば、はじめの想定以上のお金を受け取れるのです。 また、売り手側企業にとってアーンアウトは、業績を向上させることで後々多額の対価金を受け取るための 動機付け的な存在にもなります。 そして、特に成長段階のベンチャー企業においては、アーンアウトが資金調達の方法にもなりえます。 アーンアウト条項は、実際どういったときに役立つのでしょう?アーンアウト条項は、買い手側企業と売り手側企業との 考え方や価値観の溝を埋めるために役立ちます。 いわば、アーンアウトをする際の「決まり事」です。 というのも、買収対象となる企業に対して持つ 価値観や考え方などは、買い手側企業と売り手側企業とで双方異なります。 いくら売り手側企業が「とても価値のある企業」「思い入れのある企業」と思っていても、買い手側がそのように見なさなければ意味はありません。 実際に、発展途上にあるベンチャー企業やバイオ製薬会社など未知数の企業を大企業が買収する場合などのように、 将来への不確実性が高いほど取り入れることが多いです。 売り手側ができるだけ売りやすいようにという側面もありますが、 基本的に買い手側企業がリスクを軽減させるものとして取り入れる背景があります。 なお、日本では海外企業との間で行われるクロスボーダー案件においては、アーンアウト条項を利用することが多い傾向にありますが、 日本ではアメリカほど利用されていないようです。 このように、実際のところ日本ではどれほどアーンアウト条項が使われているのか 明確な数字はわかっていません。 しかし、少しずつではありますが日本でもアーンアウト条項の例が見られるようになりました。 ただ、それでも アメリカのアーンアウト条項例の例にまでは及んでいません。 ではなぜ、日本ではあまりアーンアウト条項が利用されていないのでしょうか? 日本では、アーンアウト条項付きの会計処理では 「条件付取得対価」として処理すると決められています。 企業連結会計基準において、条件付取得対価の会計処理は 「当該条件付取得対価の交付または引き渡しが確実となるまで会計処理は行わないこと」とその旨が記されています。 もう少し踏み込んでいうと、売り手側企業の純資産金は企業連結日時点では当初の支払った取得価額に基づいて純資産金額がひとまず計上されます。 その後、 アーンアウト条項による条件付取得対価の支払いが確定となった時点で、追加でのれんも計上されます。 このときに、追加で認識されたのれんは 企業連結日時点で会計処理上、想定の額で計上します。 その後、確定となったことで、のれんの事後調整もする必要があります。 アーンアウト条項で決められた条件に売り手側企業の業績が及ばなかった場合、どうなるのでしょう? この場合、買い手側企業は 売り手側企業から対価を返してもらう、あるいは本来支払うべきだった対価を減額することも条件付取得対価に含まれていると考えると良いでしょう。 日本の会計処理に対し、 国際基準(IFRS)におけるアーンアウト条項付き会計処理はどうなるのでしょうか? 国際基準の会計処理では、国際財務報告基準(IFRS)3号にて 「企業連結日時点で条件付取得対価は公正価値で計上される」となっています。 日本の会計処理ではのれんは取得日時点で処理される分と、条件付取得対価が交付または引き渡しが確定になった時点で 追加的に処理されるといったものでした。 つまり、国際基準(IFRS)であると計上された条件付取得対価に基づくのれんは、変動することがないということになります。 日本基準の会計処理以上に 公正価値による見立てが重要ということです。 このあたりの事情については、買い手側企業がいかに売り手側企業に対して 目標の達成ができるか、どれほどの目標達成を考えているかで左右されると考えるといいでしょう。 アーンアウト条項付きの会計処理では、日本基準よりも国際基準(IFRS)の方がより 売り手側企業の利益達成が可能であるのか、はじめの時点できちんと見極めておくことが大事です。 アーンアウトの条件には、主に財務指標(売上高、EBITDA、当期純利益など)、非財務指標(売上個数、入居率/空室率)などの 指標があります。 アーンアウトで注意しておきたいのは、買い手側企業が売り手側企業に支配権を握るようになったとき、こういった 業績にかかわる指標も操作される恐れがあることです。 というのも、買い手側企業としては売り手側企業の評価を下げることで、 アーンアウトの支払額を少しでも減らしたい気持ちがあるからです。 こういった事態を防ぐためにも、 アーンアウト条項で権利を侵害することはしないことや上記で述べたような財務指標のみだけでなく他の条件もアーンアウト条項に盛り込ませる方法もあります。 実は、アーンアウトは アーンアウト条項の存在が大きいといえます。 それだけでなく、今後の業績も予測不可能な企業を売買することは、 それだけでもリスクが高いことです。 前述でも触れたように、アーンアウト条項はこのような場合に備えて買い手側企業と売り手側企業の溝を埋めるもの、 リスクを下げるものとして活躍します。 お互いが極端に「損をする」「得をする」ということもありませんが、いわば「出し抜き」を制するものと考えてもいいかもしれません。 アーンアウト条項を利用することで、アーンアウトが買い手側も売り手側も お互いが釣り合うものと考えておくといいでしょう。 株式の譲渡は、企業の経営権を渡す大事な手続きです。 株式にかかる譲渡所得について、収入があった日として記載する時期は、国の定める租税特別措置法にて 「株式の引渡しが合った日」と定められています。 このときの株式に対して 誰に所得税が発生するのか、気になるでしょう。 税務上、譲渡所得による所得税は、どうなるのでしょうか? 株でも不動産でもそうですが、資産を売却することで税務上売り手側企業に譲渡所得が発生します。 この 譲渡所得を元にして、所得税が発生します。 この場合、法人は法人税、個人は個人税となります。 個人株主の場合、譲渡所得の計算式は次のようになっています。 譲渡所得=譲渡収入金額-必要経費(取得費+譲渡費用) 「譲渡収入金額」とは、株式を売却した金額ことをさします。 「取得費」とは、買い手側企業が売り手側企業の株式を買い取るときに発生した費用のことで、いわば購入費用です。 「譲渡費用」とは、株式の譲渡(売却)のために支払った費用のことです。 さらに、譲渡所得に次の計算式で課税することで 「譲渡所得税」が算出されます。 アーンアウトでは株式譲渡が行われる以上、所得税の発生にも気を付けましょう。 仮想通貨交換業者の コインチェック社が、ハッキングを受けたことで一躍メディアを賑わしたニュースがありました。 このときの株式による 買収価格は36億円。 「安いのではないか?」という声がよく聞こえてきますが、この価格が低いか高いかは今後のコインチェック社の業績がカギとなります。 コインチェック社とマネックス社とのアーンアウトでは、 「今後3事業年度(今後3年間)に及ぶコインチェック社の業績に応じ、最終利益の2分の1を上限に支払う」とされています。 わかりやすくいうと、今後3年間で100億円の利益を達成できれば、マネックス社からコインチェック社へ 半分の50億円がアーンアウトとして支払われるということになります。 今後のコインチェック社の業績にも注目が集まるアーンアウトの例です。 この2社間で行われたアーンアウトでは、はじめに普通株式で2,500万ドル(約27億5,000万円)と、現金5,000万ドル(約55億円)支払うこととなっています。 その後、Quartz社の業績の達成具合に合わせ、 株式で最大2,500万ドル(約27億5,000万円)相当、および現金最大1,000万ドル(約11億円)支払う決まり事がなされています。 アーンアウト対価の指標は、Quartz社の平成30年12月期の業績で判断されます。

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「アーンアウト」とは何か? 企業M&Aの価格を決める新たな手法

アーン アウト 条項

アーンアウトとは何なのか解説していきましょう。 対してアーンアウトとは、 企業買収による買収金を一括で払わずに分割で払うことをいいます。 別の考え方であると、アーンアウトとは「価格調整金の扱い」ともいえます。 やはり、 買収先の業績がどう転ぶかは誰も予想がつかないわけです。 そこでアーンアウトでは、一部についてはじめにまとめて支払い、その後一定の基準をクリアした場合、例えば「数年後売り手側の営業利益が〇〇億円達成した」場合などの際に、 残りの分は利益を上乗せして支払いましょうという方法が可能になります。 このように、買収先企業の今後の成長を見込んで その後追加分の利益を支払う義務をアーンアウトと呼びます。 しかし、後述でも解説しますが「アーンアウト条項」というものがあれば、条件達成の状況によっては 当初よりも多くのお金を手に入れられる可能性がある、というメリットがあります。 つまり、売り手側企業のメリットとしては ボーナス的な追加のお金も大きくなるということです。 その際、売り手側も経営に関わることを継続させる条件があります。 事業がうまくいけば、はじめの想定以上のお金を受け取れるのです。 また、売り手側企業にとってアーンアウトは、業績を向上させることで後々多額の対価金を受け取るための 動機付け的な存在にもなります。 そして、特に成長段階のベンチャー企業においては、アーンアウトが資金調達の方法にもなりえます。 アーンアウト条項は、実際どういったときに役立つのでしょう?アーンアウト条項は、買い手側企業と売り手側企業との 考え方や価値観の溝を埋めるために役立ちます。 いわば、アーンアウトをする際の「決まり事」です。 というのも、買収対象となる企業に対して持つ 価値観や考え方などは、買い手側企業と売り手側企業とで双方異なります。 いくら売り手側企業が「とても価値のある企業」「思い入れのある企業」と思っていても、買い手側がそのように見なさなければ意味はありません。 実際に、発展途上にあるベンチャー企業やバイオ製薬会社など未知数の企業を大企業が買収する場合などのように、 将来への不確実性が高いほど取り入れることが多いです。 売り手側ができるだけ売りやすいようにという側面もありますが、 基本的に買い手側企業がリスクを軽減させるものとして取り入れる背景があります。 なお、日本では海外企業との間で行われるクロスボーダー案件においては、アーンアウト条項を利用することが多い傾向にありますが、 日本ではアメリカほど利用されていないようです。 このように、実際のところ日本ではどれほどアーンアウト条項が使われているのか 明確な数字はわかっていません。 しかし、少しずつではありますが日本でもアーンアウト条項の例が見られるようになりました。 ただ、それでも アメリカのアーンアウト条項例の例にまでは及んでいません。 ではなぜ、日本ではあまりアーンアウト条項が利用されていないのでしょうか? 日本では、アーンアウト条項付きの会計処理では 「条件付取得対価」として処理すると決められています。 企業連結会計基準において、条件付取得対価の会計処理は 「当該条件付取得対価の交付または引き渡しが確実となるまで会計処理は行わないこと」とその旨が記されています。 もう少し踏み込んでいうと、売り手側企業の純資産金は企業連結日時点では当初の支払った取得価額に基づいて純資産金額がひとまず計上されます。 その後、 アーンアウト条項による条件付取得対価の支払いが確定となった時点で、追加でのれんも計上されます。 このときに、追加で認識されたのれんは 企業連結日時点で会計処理上、想定の額で計上します。 その後、確定となったことで、のれんの事後調整もする必要があります。 アーンアウト条項で決められた条件に売り手側企業の業績が及ばなかった場合、どうなるのでしょう? この場合、買い手側企業は 売り手側企業から対価を返してもらう、あるいは本来支払うべきだった対価を減額することも条件付取得対価に含まれていると考えると良いでしょう。 日本の会計処理に対し、 国際基準(IFRS)におけるアーンアウト条項付き会計処理はどうなるのでしょうか? 国際基準の会計処理では、国際財務報告基準(IFRS)3号にて 「企業連結日時点で条件付取得対価は公正価値で計上される」となっています。 日本の会計処理ではのれんは取得日時点で処理される分と、条件付取得対価が交付または引き渡しが確定になった時点で 追加的に処理されるといったものでした。 つまり、国際基準(IFRS)であると計上された条件付取得対価に基づくのれんは、変動することがないということになります。 日本基準の会計処理以上に 公正価値による見立てが重要ということです。 このあたりの事情については、買い手側企業がいかに売り手側企業に対して 目標の達成ができるか、どれほどの目標達成を考えているかで左右されると考えるといいでしょう。 アーンアウト条項付きの会計処理では、日本基準よりも国際基準(IFRS)の方がより 売り手側企業の利益達成が可能であるのか、はじめの時点できちんと見極めておくことが大事です。 アーンアウトの条件には、主に財務指標(売上高、EBITDA、当期純利益など)、非財務指標(売上個数、入居率/空室率)などの 指標があります。 アーンアウトで注意しておきたいのは、買い手側企業が売り手側企業に支配権を握るようになったとき、こういった 業績にかかわる指標も操作される恐れがあることです。 というのも、買い手側企業としては売り手側企業の評価を下げることで、 アーンアウトの支払額を少しでも減らしたい気持ちがあるからです。 こういった事態を防ぐためにも、 アーンアウト条項で権利を侵害することはしないことや上記で述べたような財務指標のみだけでなく他の条件もアーンアウト条項に盛り込ませる方法もあります。 実は、アーンアウトは アーンアウト条項の存在が大きいといえます。 それだけでなく、今後の業績も予測不可能な企業を売買することは、 それだけでもリスクが高いことです。 前述でも触れたように、アーンアウト条項はこのような場合に備えて買い手側企業と売り手側企業の溝を埋めるもの、 リスクを下げるものとして活躍します。 お互いが極端に「損をする」「得をする」ということもありませんが、いわば「出し抜き」を制するものと考えてもいいかもしれません。 アーンアウト条項を利用することで、アーンアウトが買い手側も売り手側も お互いが釣り合うものと考えておくといいでしょう。 株式の譲渡は、企業の経営権を渡す大事な手続きです。 株式にかかる譲渡所得について、収入があった日として記載する時期は、国の定める租税特別措置法にて 「株式の引渡しが合った日」と定められています。 このときの株式に対して 誰に所得税が発生するのか、気になるでしょう。 税務上、譲渡所得による所得税は、どうなるのでしょうか? 株でも不動産でもそうですが、資産を売却することで税務上売り手側企業に譲渡所得が発生します。 この 譲渡所得を元にして、所得税が発生します。 この場合、法人は法人税、個人は個人税となります。 個人株主の場合、譲渡所得の計算式は次のようになっています。 譲渡所得=譲渡収入金額-必要経費(取得費+譲渡費用) 「譲渡収入金額」とは、株式を売却した金額ことをさします。 「取得費」とは、買い手側企業が売り手側企業の株式を買い取るときに発生した費用のことで、いわば購入費用です。 「譲渡費用」とは、株式の譲渡(売却)のために支払った費用のことです。 さらに、譲渡所得に次の計算式で課税することで 「譲渡所得税」が算出されます。 アーンアウトでは株式譲渡が行われる以上、所得税の発生にも気を付けましょう。 仮想通貨交換業者の コインチェック社が、ハッキングを受けたことで一躍メディアを賑わしたニュースがありました。 このときの株式による 買収価格は36億円。 「安いのではないか?」という声がよく聞こえてきますが、この価格が低いか高いかは今後のコインチェック社の業績がカギとなります。 コインチェック社とマネックス社とのアーンアウトでは、 「今後3事業年度(今後3年間)に及ぶコインチェック社の業績に応じ、最終利益の2分の1を上限に支払う」とされています。 わかりやすくいうと、今後3年間で100億円の利益を達成できれば、マネックス社からコインチェック社へ 半分の50億円がアーンアウトとして支払われるということになります。 今後のコインチェック社の業績にも注目が集まるアーンアウトの例です。 この2社間で行われたアーンアウトでは、はじめに普通株式で2,500万ドル(約27億5,000万円)と、現金5,000万ドル(約55億円)支払うこととなっています。 その後、Quartz社の業績の達成具合に合わせ、 株式で最大2,500万ドル(約27億5,000万円)相当、および現金最大1,000万ドル(約11億円)支払う決まり事がなされています。 アーンアウト対価の指標は、Quartz社の平成30年12月期の業績で判断されます。

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