パワプロ 努力家な二人。 その男の名はパワプロ

実況パワフルプロ野球2018(パワプロ2018)のネタバレ解説まとめ

パワプロ 努力家な二人

17 「関東スポーツの河北(かわきた)です。 真上選手、晴れてイーグルスの一員になった今の気持ちを語ってください」 「僕を最大限に評価してくださった楽天には感謝の気持ちでいっぱいです。 ドラフト一巡目の名に恥じないプレーをしていきたいと思います。 早くチームに溶け込みたいと思います」 秀行は緊張していながらも、記者達の質問にハキハキと答えていった。 そして最後にこんな質問が飛んできた。 「真上投手、ズバリ貴方は何で勝負したいですか?」 秀行は即答した。 「針の穴を通すようなコントロールと多彩な変化球です!」 (書き込みのペースが異常に速くなりましたが、私の小説を記録しているUSBとワードから急いで貼り付けを行っているところです。 何せ、私は時間が無いので……。 18 こうして秀行に対する質問は終わり、秀行の隣にいる選手に質問がうつった。 「東北新報の田上(たのうえ)です。 川又選手、今の心境をお聞かせてください」 今呼ばれたのは大学生スラッガーの名が高い川又宗助(かわばた・そうすけ)である。 宗助は答えた。 「無限に広がる大宇宙の様にものすごく大きな気持ちです」 意味不明だ。 記者達はきょとんとしてしまう。 宗助は表情が変わっていない。 「あのぅ、どういう意味で……」 「今言った通りです。 以上!」 会場が変な空気に包まれる。 そう、宗助は魔性の男と呼ばれていて何を考えているのか不思議だと言われてきた。 そんな男である。 記者達は次の質問に困ってしまった。 破れかぶれに一人の記者がありきたりな質問をした。 「では……、貴方のアピールポイントはなんでしょう?」 こんな質問しか思いつかなかった。 宗助はこう言った。 19 辺りが沈黙する。 秀行は思った。 (そうか、この人が川又さんか、面白いひとだなぁ)そして、三巡目の選手に移った。 「では、岩尾選手、今のお気持ちをどうぞ!」 「本当は中日に入りたかったんですけどねぇ、和田さんや吉見さんと一緒にプレーしたかったんだけどなぁ。 でも一応プロになれたんでよしとしたところです」 会場は爆笑に包まれた。 一方の星野監督は必死に怒りをこらえているように見えたが。 岩尾結(いわお・むすぶ)は高校生ナンバーワンショートと言われていて、全国的に注目されてきた選手である。 シュアな打撃と50メートル走で5・4秒を誇る選手である。 おとなしくて優しいやつだが、少々自分に素直なところがある。 20 結のインタビューも終わり、今度は4番目の選手だ。 「三田選手、貴方のアピールポイントを教えてください!」 「私のアピールポイントはフォークボールです。 これだけはほとんど打たれない自信があります。 私は球速もスタミナもコントロールも平凡ですが、今回楽天球団にご指名いただき光栄に思うところです。 真上君ごときよりも活躍できるようになりたいと思います」 今の言葉に秀行はむっとした。 なんだこいつ、俺をなめてるのか! そう思った。 今発言した三田吉男(みた・よしお)という男は社会人出身の21歳である。 彼はかの大魔神佐々木並のフォークボールを武器にしている投手である。 実は吉男は部落民に差別意識を持っている。 彼の祖父は大手セメント会社を経営していて、多くの部落民を雇い彼らをこき使っている。 吉男は祖父と父から部落民はいやしい者だと教わってきたので差別意識が強く根付いているのだ。 21 そして次の選手の番が来た。 「東北新報の野村です。 雪選手、今の心境を語ってください」 と記者が言った後、あたりの空気がガラッと変わる。 「はあ〜い! 私が雪正男よ! 憧れのプロ野球選手になれて私嬉しくて困っちゃう!」 こんなオネェ口調で話始めたのが雪正男(ゆき・まさお)である。 身長が2メートルはあるように見えて、筋骨隆々である。 顔もごつくて顎は青い。 しかしそんな見た目にかかわらず、彼は非常に女らしい性格をしているのである。 周りは言いようがない違和感に満ちた空気がただよい、唖然としてしまった。 しかし、ここは会見場である。 会見は続けなければならない。 「……、では、貴方のアピールポイントは?」 正男は開口一番こう言った。 「私、パワーにはとても自信があるの! 四国アイランドリーグではホームラン王になったこともあるのよ! あ、それと私を呼ぶときは『ユキちゃん』と呼んでね。 そうしないと怒るわよ! いいわね」 「そうですか……、ではゆ……、ユキちゃん、憧れの選手は誰ですか?」 「私、山崎様にすごく憧れているの。 あの分厚い胸板で抱かれてみた〜い!」 藤原は秀行にこそこそと話しかけた。 「変な選手が入ってきたでありんすねぇ。 22 秀行は藤原にそう諭した。 次は五番目の選手である。 「では、木村選手、今の貴方の心境を語ってください」 記者がそういうと、木村は重々しく答えた。 「拙者が木村大樹(きむら・だいき)でござる。 先祖は代々武家であり、拙者も父上から武士の心得を習得したのでござる。 剣道は三段である。 野球との出会いは拙者が小学校三年のころ、剣道の稽古から家路についていたとき、キャッチボールをしていた同級生の一人が拙者に向かって暴投をしたのでござる。 その時拙者は瞬時に竹刀で球を打ち返し彼のグラブに偶然おさまったのでござる! 球を打ち返したときの感触はいまだに忘れていない。 それから同級生に褒められ野球をやってみないかと誘われたのだ。 拙者は流れのままにその話に乗り、野球を始めてみたらそれをとても好きになり、夢中になったのでござる」 まったく答えになっていないが、木村は続ける。 「しかし、拙者は才能に恵まれていなかった。 悔しくて死ぬ気で野球の稽古をしたのでござる。 剣道との両立も大変であった。 だが、拙者はだんだんと野球がうまくなり、今回のご指名に至ったのでござる。 拙者のポジションは二塁でござる。 特に突出した能力はございませぬが、努力だけは人一倍の自信がありまする。 今回の楽天球団のご指名は光栄の至り。 27 次はたった一人、育成枠で指名された選手の会見だ。 「それでは原田正太郎(はらだ・しょうたろう)投手、指名された今の気持ちを語ってください」 「ははははいいいいいっ! ぼぼぼ僕が原田正太郎ですう! いいい今はとても緊張して、ななななかなか言葉がでませんですう!」 「緊張せずに、リラックスしてください」 そうした記者の助言にも関わらず、正太郎はガチガチのままだった。 「それでは原田投手、貴方の一番の武器はなんですか?」 「ぼぼぼ僕はははは速い球に自信がありますう! ひゃ、ひゃ、150キロを超すストレートが武器ですう! ででで、でもコントロールには自信がありません!」 こんなこと言ってしまっちゃあお終いよ、と星野監督は思ったことだろう。 こんな調子で原田正太郎の会見は進んで行き、こうして新人選手の入団会見は終わった。 各選手達は、特に正太郎はほっとして会場から去っていく。 29 それから数日後、秀行が通う誠城高校の休み時間にて。 「秀行」 話しかけてきたのは秀行の幼馴染の女の子の伊原春生(いはら・はるみ)である。 「春生か」 そして春生はニコニコしながら話し始める。 「ついに秀行もプロ野球選手かぁ……。 夢がかなったね! おめでとう! 巨人に入れなかったのは残念だったけど……」 秀行はそんな幼馴染の言葉が嬉しかった。 「ありがとう、春生。 これから始まるプロ生活が楽しみだよ! お前も受験勉強頑張れよ!」 「うん、秀行も頑張ってね!!」 二人はお互いの健闘を誓い合った。 30 日はすっかり暮れてしまった。 秋から冬に差し掛かろうとしていた。 紅葉に染まっていた庭の木もすっかり葉を落としていた。 真上家は久々に家族そろっての夕食。 テーブルの上には遅くかえってきた正が心を込めて作った料理が並んでいる。 母はもうこの世にいない。 「久々に家族そろっての食事だな、秀行、正」 二人の父、吉良(よしら)は向かいの二人に話しかけた。 「そうだね、お父さん」 と正。 だが秀行は沈黙していた。 「どうした秀行、一家団欒の時に……」 「何が一家団欒だ! 親父!」 秀行は怒鳴った。 さらに続けた。 「解放同盟の活動かなんか知らんけど、いつも家に帰らないで家庭を顧みない。 家族を大事にしないで、たまに居るからって何が一家団欒だ! 母さんはさみしがっていたんだぞ! しかも葬儀にも解放同盟の活動があるからって屁理屈こいて参加しなかったくせに……」 「兄さん……」 正はポツリと言った。 秀行はさらに続けた。 「そうだよ……、この家だって自分の力で建てなかったくせに! 何が我が家だ! だから部落は……! 部落は……!」 「秀行!」 吉良は近づいて秀行のほうを思い切りはたいた。 秀行は椅子から倒れ落ちた。 「お父さん! やめてよ」 「正は黙ってろ!」 吉良は怒鳴った。 「そうか……、殴ったな、親父! あんたは父親失格だ!」 秀行はゆっくり起き上がり、テーブルをドンと強く叩いてそう怒鳴った。 「父親にそんなこと言うか!!」 こうして、久しぶりの家族そろっての夕食は秀行と吉良の喧嘩で終わった。 正はそんな光景を見て悲しむしかなかった。 そんなこんなで合同自主トレの日が迫ってくる。 第二章 終わり ありがとうございました。 31 第三章 一月某日 「仙台は寒いな……」 秀行はそう声を漏らさずにはいられなかった。 慣れない東北、仙台の冬は関西出身の秀行にはこたえる。 秀行は厚手のジャンパーに手袋姿、首にはマフラーを巻いている。 しかし、それでも寒いのだ。 「さささ、寒いでありんす! この寒さは異常でありんす! 身体につきささるようでありんす」 体をぶるぶる震わせながら、藤原は騒いでいる。 彼は油断して手袋をしてこなかった。 そんな藤原は冷えた手に息を吹きかけている。 「秀行君、もっと温かい場所で自主トレをしたかったでありんす」 「まあまあ、藤原君、仕方がないよ」 秀行は藤原にそう諭さざるをえない。 「そんなに寒いかなあ?」 と、話し始めたのは岩尾結だ。 彼も重装備だが、表情はケロッとしている。 「体を動かしていれば温かくなると思うけどなあ」 「そうよ!」 雪はそう相槌をうった。 「私達スポーツ選手なんだから、これくらいの寒さに負けてはいられないわよっ!」 さ、いきましょ、と雪は練習場へと向かっていった。 秀行達も彼に連れられるように練習場に向かっていった。 これから秀行達新人選手は新人合同自主トレーニングを行うところだ。 かれらは入団発表記者会見以来の対面である。 無論、練習を共にするのはこの日が初めてだ。 まず、手始めのストレッチをした後、ランニングが開始された。 グラウンド内をぐるぐると何周もするのである。 32 キャー、キャー、秀行くーん! さすが甲子園のアイドル。 秀行見たさに集まってきた女性ファン達が彼に黄色い声を上げていた。 報道陣も彼を中心に撮影しながらカメラを回す。 「さすがでありんす、秀行君。 人気ありまくりでありんす。 羨ましいでありんす」 藤原は秀行の後ろを走りながらそう声を漏らした。 秀行はなんとも言えないような表情だ。 少し照れているが。 「チッ」 三田は不機嫌そうな顔をして舌を鳴らした。 しばらくすると、秀行たちの体が十分に温まりほぐれてきた。 彼らの気持ちはだいぶリラックスしてきていた。 33 次はダッシュだ。 ピッと合図の笛がなると、スタートするというものだ。 通例では二人一緒に走るのだが、人数が半端なので、木村大樹だけは一人で走ることになった。 トップで走るのは、藤原と岩尾だ。 「僕は足の速さを売りにしてプロになったでありんす! 岩尾君、悪いでありんすが君には負けないでありんす!」 「あ、そう。 よろしく」 気合入りまくりの藤原だが、岩尾はさらりと言葉を返した。 そして二人は位置に。 ピッ! 合図の笛がなった。 藤原は一目散にシュタタタッと走り出す。 しかし、岩尾のほうがもっと速かった。 シュタタタタタ……、岩尾は藤原を半歩、一歩と差をつけていった。 そして終わってみれば、3メートルは差がついていた。 藤原の50メートル走のタイムはベストで6・0秒。 対する岩尾はベストタイムで5・4秒。 その差は明らかだった。 「ううっ悔しいでありんす!」 藤原はとても悔しがった。 岩尾のほうはケロッとしているが。 それは勝者の余裕ではなく、ただ、この「勝負」というものにまったく関心が無かったので、無関心という顔だった。 地団駄を踏んでいる藤原を秀行はなだめようした。 が、先に声をかけたのは木村だった。 「藤原殿、落ち着くのでござる」 木村は更に続けた。 「岩尾殿の足の速さは球界でも1、2を争う。 藤原殿も速いでござるが、これは仕方のないことでござる」 確かに木村の言うことは正論だ。 藤原はしぶしぶ後に引いた。 「木村さん」 秀行は木村に話しかけた。 彼に感謝したいのだ。 「ありがとうございます。 藤原君はあの通りの性格だから」 「そう言われるほどではないでござる」 木村はそう返した。 34 ダッシュが終わると、次はキャッチボールだ。 秀行は原田と組むことになった。 「よろしく! 原田君」 秀行は原田に気さくに声をかけた。 すると原田はとても驚いた。 「ここここ、こちらこそ!」 スターに声をかけられたのだ。 アガリ症の原田にとっては動揺するのも当たり前だった。 そしてキャッチボールが始まった。 相手の原田が初めに投げた。 そして秀行は彼の球に驚くことになる。 ギュルルルル! 軽く投げてもものすごい回転だ。 そして手元でピュッと伸びる。 コントロールこそ悪いが、秀行はそんな原田の投げる球の威力、重さ、伸びに驚いた。 「軽く投げているのになんて球を投げるんだろう。 原田君は化けるととんでもない投手になりそうだ」 秀行は心の中でそう思った。 35 次はノックだ。 二人が組になって時間ごとに交互にノックをする形式だ。 ただ、自主トレの一環なのでとるのが難しい打球は打たないことになっている。 秀行は雪と組むことになった。 「雪さん、よろしくお願いします」 秀行は雪に軽く声をかけると 「もう! ユキちゃんって呼びなさいよ! 怒るわよ!」 と怒鳴った。 そういえばそうだった。 入団記者会見の時、雪は自分の事を「ユキちゃん」と呼べと言っていた。 そのことを秀行は今頃思い出したのだった。 「すみません、ゆ……ユキちゃん」 「いいのよ、秀行君。 貴方と組めてあたしは嬉しいわ! さ、始めましょ!」 秀行と雪のノックは異様な光景だった。 雪は巨体をオーバーに揺らして秀行の打球をさばいていた。 「どんどんきなさーい!」 そんな雪に回りはドン引きしたのだった。 36 そして一通り一日の練習が終わった。 秀行は球場から出ると、報道陣に囲まれた。 当然インタビューである。 ある記者が開口一番こう切り出した。 「どうですか、体の動き具合は?」 秀行はすぐに答えた。 「まだキャンプ前なの体はまだ出来ていませんが、これからシーズンに標準を合わせてどんどん動けるようにしたいです」 「どうです? 仙台での暮らしのほどは」 「新鮮な気持ちはあります。 僕は関西の出身なので、東北は色んなことが初めてですから。 ただ……、寒いですね」 こんな調子でインタビューは続いた。 そしてある記者はこう切り出した。 「では最後に、今年は新人王、狙っていきますか?」 「新人王ですか……」 秀行はどのように答えるか迷った。 しばらく考える。 でも、ドラフト一巡目に指名されたのである。 欲はあるのだ。 「新人王ですか……、できれば……」 しかしそこへ邪魔が入った。

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「ひゃ~美人姉妹!」「スタイル良すぎ」本田真凜が公開した妹・紗来との“水着2ショット”に反響続々!(THE DIGEST)

パワプロ 努力家な二人

17 「関東スポーツの河北(かわきた)です。 真上選手、晴れてイーグルスの一員になった今の気持ちを語ってください」 「僕を最大限に評価してくださった楽天には感謝の気持ちでいっぱいです。 ドラフト一巡目の名に恥じないプレーをしていきたいと思います。 早くチームに溶け込みたいと思います」 秀行は緊張していながらも、記者達の質問にハキハキと答えていった。 そして最後にこんな質問が飛んできた。 「真上投手、ズバリ貴方は何で勝負したいですか?」 秀行は即答した。 「針の穴を通すようなコントロールと多彩な変化球です!」 (書き込みのペースが異常に速くなりましたが、私の小説を記録しているUSBとワードから急いで貼り付けを行っているところです。 何せ、私は時間が無いので……。 18 こうして秀行に対する質問は終わり、秀行の隣にいる選手に質問がうつった。 「東北新報の田上(たのうえ)です。 川又選手、今の心境をお聞かせてください」 今呼ばれたのは大学生スラッガーの名が高い川又宗助(かわばた・そうすけ)である。 宗助は答えた。 「無限に広がる大宇宙の様にものすごく大きな気持ちです」 意味不明だ。 記者達はきょとんとしてしまう。 宗助は表情が変わっていない。 「あのぅ、どういう意味で……」 「今言った通りです。 以上!」 会場が変な空気に包まれる。 そう、宗助は魔性の男と呼ばれていて何を考えているのか不思議だと言われてきた。 そんな男である。 記者達は次の質問に困ってしまった。 破れかぶれに一人の記者がありきたりな質問をした。 「では……、貴方のアピールポイントはなんでしょう?」 こんな質問しか思いつかなかった。 宗助はこう言った。 19 辺りが沈黙する。 秀行は思った。 (そうか、この人が川又さんか、面白いひとだなぁ)そして、三巡目の選手に移った。 「では、岩尾選手、今のお気持ちをどうぞ!」 「本当は中日に入りたかったんですけどねぇ、和田さんや吉見さんと一緒にプレーしたかったんだけどなぁ。 でも一応プロになれたんでよしとしたところです」 会場は爆笑に包まれた。 一方の星野監督は必死に怒りをこらえているように見えたが。 岩尾結(いわお・むすぶ)は高校生ナンバーワンショートと言われていて、全国的に注目されてきた選手である。 シュアな打撃と50メートル走で5・4秒を誇る選手である。 おとなしくて優しいやつだが、少々自分に素直なところがある。 20 結のインタビューも終わり、今度は4番目の選手だ。 「三田選手、貴方のアピールポイントを教えてください!」 「私のアピールポイントはフォークボールです。 これだけはほとんど打たれない自信があります。 私は球速もスタミナもコントロールも平凡ですが、今回楽天球団にご指名いただき光栄に思うところです。 真上君ごときよりも活躍できるようになりたいと思います」 今の言葉に秀行はむっとした。 なんだこいつ、俺をなめてるのか! そう思った。 今発言した三田吉男(みた・よしお)という男は社会人出身の21歳である。 彼はかの大魔神佐々木並のフォークボールを武器にしている投手である。 実は吉男は部落民に差別意識を持っている。 彼の祖父は大手セメント会社を経営していて、多くの部落民を雇い彼らをこき使っている。 吉男は祖父と父から部落民はいやしい者だと教わってきたので差別意識が強く根付いているのだ。 21 そして次の選手の番が来た。 「東北新報の野村です。 雪選手、今の心境を語ってください」 と記者が言った後、あたりの空気がガラッと変わる。 「はあ〜い! 私が雪正男よ! 憧れのプロ野球選手になれて私嬉しくて困っちゃう!」 こんなオネェ口調で話始めたのが雪正男(ゆき・まさお)である。 身長が2メートルはあるように見えて、筋骨隆々である。 顔もごつくて顎は青い。 しかしそんな見た目にかかわらず、彼は非常に女らしい性格をしているのである。 周りは言いようがない違和感に満ちた空気がただよい、唖然としてしまった。 しかし、ここは会見場である。 会見は続けなければならない。 「……、では、貴方のアピールポイントは?」 正男は開口一番こう言った。 「私、パワーにはとても自信があるの! 四国アイランドリーグではホームラン王になったこともあるのよ! あ、それと私を呼ぶときは『ユキちゃん』と呼んでね。 そうしないと怒るわよ! いいわね」 「そうですか……、ではゆ……、ユキちゃん、憧れの選手は誰ですか?」 「私、山崎様にすごく憧れているの。 あの分厚い胸板で抱かれてみた〜い!」 藤原は秀行にこそこそと話しかけた。 「変な選手が入ってきたでありんすねぇ。 22 秀行は藤原にそう諭した。 次は五番目の選手である。 「では、木村選手、今の貴方の心境を語ってください」 記者がそういうと、木村は重々しく答えた。 「拙者が木村大樹(きむら・だいき)でござる。 先祖は代々武家であり、拙者も父上から武士の心得を習得したのでござる。 剣道は三段である。 野球との出会いは拙者が小学校三年のころ、剣道の稽古から家路についていたとき、キャッチボールをしていた同級生の一人が拙者に向かって暴投をしたのでござる。 その時拙者は瞬時に竹刀で球を打ち返し彼のグラブに偶然おさまったのでござる! 球を打ち返したときの感触はいまだに忘れていない。 それから同級生に褒められ野球をやってみないかと誘われたのだ。 拙者は流れのままにその話に乗り、野球を始めてみたらそれをとても好きになり、夢中になったのでござる」 まったく答えになっていないが、木村は続ける。 「しかし、拙者は才能に恵まれていなかった。 悔しくて死ぬ気で野球の稽古をしたのでござる。 剣道との両立も大変であった。 だが、拙者はだんだんと野球がうまくなり、今回のご指名に至ったのでござる。 拙者のポジションは二塁でござる。 特に突出した能力はございませぬが、努力だけは人一倍の自信がありまする。 今回の楽天球団のご指名は光栄の至り。 27 次はたった一人、育成枠で指名された選手の会見だ。 「それでは原田正太郎(はらだ・しょうたろう)投手、指名された今の気持ちを語ってください」 「ははははいいいいいっ! ぼぼぼ僕が原田正太郎ですう! いいい今はとても緊張して、ななななかなか言葉がでませんですう!」 「緊張せずに、リラックスしてください」 そうした記者の助言にも関わらず、正太郎はガチガチのままだった。 「それでは原田投手、貴方の一番の武器はなんですか?」 「ぼぼぼ僕はははは速い球に自信がありますう! ひゃ、ひゃ、150キロを超すストレートが武器ですう! ででで、でもコントロールには自信がありません!」 こんなこと言ってしまっちゃあお終いよ、と星野監督は思ったことだろう。 こんな調子で原田正太郎の会見は進んで行き、こうして新人選手の入団会見は終わった。 各選手達は、特に正太郎はほっとして会場から去っていく。 29 それから数日後、秀行が通う誠城高校の休み時間にて。 「秀行」 話しかけてきたのは秀行の幼馴染の女の子の伊原春生(いはら・はるみ)である。 「春生か」 そして春生はニコニコしながら話し始める。 「ついに秀行もプロ野球選手かぁ……。 夢がかなったね! おめでとう! 巨人に入れなかったのは残念だったけど……」 秀行はそんな幼馴染の言葉が嬉しかった。 「ありがとう、春生。 これから始まるプロ生活が楽しみだよ! お前も受験勉強頑張れよ!」 「うん、秀行も頑張ってね!!」 二人はお互いの健闘を誓い合った。 30 日はすっかり暮れてしまった。 秋から冬に差し掛かろうとしていた。 紅葉に染まっていた庭の木もすっかり葉を落としていた。 真上家は久々に家族そろっての夕食。 テーブルの上には遅くかえってきた正が心を込めて作った料理が並んでいる。 母はもうこの世にいない。 「久々に家族そろっての食事だな、秀行、正」 二人の父、吉良(よしら)は向かいの二人に話しかけた。 「そうだね、お父さん」 と正。 だが秀行は沈黙していた。 「どうした秀行、一家団欒の時に……」 「何が一家団欒だ! 親父!」 秀行は怒鳴った。 さらに続けた。 「解放同盟の活動かなんか知らんけど、いつも家に帰らないで家庭を顧みない。 家族を大事にしないで、たまに居るからって何が一家団欒だ! 母さんはさみしがっていたんだぞ! しかも葬儀にも解放同盟の活動があるからって屁理屈こいて参加しなかったくせに……」 「兄さん……」 正はポツリと言った。 秀行はさらに続けた。 「そうだよ……、この家だって自分の力で建てなかったくせに! 何が我が家だ! だから部落は……! 部落は……!」 「秀行!」 吉良は近づいて秀行のほうを思い切りはたいた。 秀行は椅子から倒れ落ちた。 「お父さん! やめてよ」 「正は黙ってろ!」 吉良は怒鳴った。 「そうか……、殴ったな、親父! あんたは父親失格だ!」 秀行はゆっくり起き上がり、テーブルをドンと強く叩いてそう怒鳴った。 「父親にそんなこと言うか!!」 こうして、久しぶりの家族そろっての夕食は秀行と吉良の喧嘩で終わった。 正はそんな光景を見て悲しむしかなかった。 そんなこんなで合同自主トレの日が迫ってくる。 第二章 終わり ありがとうございました。 31 第三章 一月某日 「仙台は寒いな……」 秀行はそう声を漏らさずにはいられなかった。 慣れない東北、仙台の冬は関西出身の秀行にはこたえる。 秀行は厚手のジャンパーに手袋姿、首にはマフラーを巻いている。 しかし、それでも寒いのだ。 「さささ、寒いでありんす! この寒さは異常でありんす! 身体につきささるようでありんす」 体をぶるぶる震わせながら、藤原は騒いでいる。 彼は油断して手袋をしてこなかった。 そんな藤原は冷えた手に息を吹きかけている。 「秀行君、もっと温かい場所で自主トレをしたかったでありんす」 「まあまあ、藤原君、仕方がないよ」 秀行は藤原にそう諭さざるをえない。 「そんなに寒いかなあ?」 と、話し始めたのは岩尾結だ。 彼も重装備だが、表情はケロッとしている。 「体を動かしていれば温かくなると思うけどなあ」 「そうよ!」 雪はそう相槌をうった。 「私達スポーツ選手なんだから、これくらいの寒さに負けてはいられないわよっ!」 さ、いきましょ、と雪は練習場へと向かっていった。 秀行達も彼に連れられるように練習場に向かっていった。 これから秀行達新人選手は新人合同自主トレーニングを行うところだ。 かれらは入団発表記者会見以来の対面である。 無論、練習を共にするのはこの日が初めてだ。 まず、手始めのストレッチをした後、ランニングが開始された。 グラウンド内をぐるぐると何周もするのである。 32 キャー、キャー、秀行くーん! さすが甲子園のアイドル。 秀行見たさに集まってきた女性ファン達が彼に黄色い声を上げていた。 報道陣も彼を中心に撮影しながらカメラを回す。 「さすがでありんす、秀行君。 人気ありまくりでありんす。 羨ましいでありんす」 藤原は秀行の後ろを走りながらそう声を漏らした。 秀行はなんとも言えないような表情だ。 少し照れているが。 「チッ」 三田は不機嫌そうな顔をして舌を鳴らした。 しばらくすると、秀行たちの体が十分に温まりほぐれてきた。 彼らの気持ちはだいぶリラックスしてきていた。 33 次はダッシュだ。 ピッと合図の笛がなると、スタートするというものだ。 通例では二人一緒に走るのだが、人数が半端なので、木村大樹だけは一人で走ることになった。 トップで走るのは、藤原と岩尾だ。 「僕は足の速さを売りにしてプロになったでありんす! 岩尾君、悪いでありんすが君には負けないでありんす!」 「あ、そう。 よろしく」 気合入りまくりの藤原だが、岩尾はさらりと言葉を返した。 そして二人は位置に。 ピッ! 合図の笛がなった。 藤原は一目散にシュタタタッと走り出す。 しかし、岩尾のほうがもっと速かった。 シュタタタタタ……、岩尾は藤原を半歩、一歩と差をつけていった。 そして終わってみれば、3メートルは差がついていた。 藤原の50メートル走のタイムはベストで6・0秒。 対する岩尾はベストタイムで5・4秒。 その差は明らかだった。 「ううっ悔しいでありんす!」 藤原はとても悔しがった。 岩尾のほうはケロッとしているが。 それは勝者の余裕ではなく、ただ、この「勝負」というものにまったく関心が無かったので、無関心という顔だった。 地団駄を踏んでいる藤原を秀行はなだめようした。 が、先に声をかけたのは木村だった。 「藤原殿、落ち着くのでござる」 木村は更に続けた。 「岩尾殿の足の速さは球界でも1、2を争う。 藤原殿も速いでござるが、これは仕方のないことでござる」 確かに木村の言うことは正論だ。 藤原はしぶしぶ後に引いた。 「木村さん」 秀行は木村に話しかけた。 彼に感謝したいのだ。 「ありがとうございます。 藤原君はあの通りの性格だから」 「そう言われるほどではないでござる」 木村はそう返した。 34 ダッシュが終わると、次はキャッチボールだ。 秀行は原田と組むことになった。 「よろしく! 原田君」 秀行は原田に気さくに声をかけた。 すると原田はとても驚いた。 「ここここ、こちらこそ!」 スターに声をかけられたのだ。 アガリ症の原田にとっては動揺するのも当たり前だった。 そしてキャッチボールが始まった。 相手の原田が初めに投げた。 そして秀行は彼の球に驚くことになる。 ギュルルルル! 軽く投げてもものすごい回転だ。 そして手元でピュッと伸びる。 コントロールこそ悪いが、秀行はそんな原田の投げる球の威力、重さ、伸びに驚いた。 「軽く投げているのになんて球を投げるんだろう。 原田君は化けるととんでもない投手になりそうだ」 秀行は心の中でそう思った。 35 次はノックだ。 二人が組になって時間ごとに交互にノックをする形式だ。 ただ、自主トレの一環なのでとるのが難しい打球は打たないことになっている。 秀行は雪と組むことになった。 「雪さん、よろしくお願いします」 秀行は雪に軽く声をかけると 「もう! ユキちゃんって呼びなさいよ! 怒るわよ!」 と怒鳴った。 そういえばそうだった。 入団記者会見の時、雪は自分の事を「ユキちゃん」と呼べと言っていた。 そのことを秀行は今頃思い出したのだった。 「すみません、ゆ……ユキちゃん」 「いいのよ、秀行君。 貴方と組めてあたしは嬉しいわ! さ、始めましょ!」 秀行と雪のノックは異様な光景だった。 雪は巨体をオーバーに揺らして秀行の打球をさばいていた。 「どんどんきなさーい!」 そんな雪に回りはドン引きしたのだった。 36 そして一通り一日の練習が終わった。 秀行は球場から出ると、報道陣に囲まれた。 当然インタビューである。 ある記者が開口一番こう切り出した。 「どうですか、体の動き具合は?」 秀行はすぐに答えた。 「まだキャンプ前なの体はまだ出来ていませんが、これからシーズンに標準を合わせてどんどん動けるようにしたいです」 「どうです? 仙台での暮らしのほどは」 「新鮮な気持ちはあります。 僕は関西の出身なので、東北は色んなことが初めてですから。 ただ……、寒いですね」 こんな調子でインタビューは続いた。 そしてある記者はこう切り出した。 「では最後に、今年は新人王、狙っていきますか?」 「新人王ですか……」 秀行はどのように答えるか迷った。 しばらく考える。 でも、ドラフト一巡目に指名されたのである。 欲はあるのだ。 「新人王ですか……、できれば……」 しかしそこへ邪魔が入った。

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九十九 伽奈

パワプロ 努力家な二人

聖「パワプロ先輩をめぐってあおい先輩とみずきががちんこ対決…?」 聖「パワプロ先輩をめぐってあおい先輩とみずきががちんこ対決…?」 あおい「まさかみずきもパワプロ君のことが好きだったなんてね…!」 みずき「私も驚きました…。 パワプロ君に相応しい真のヒロインは誰か決めてやろうじゃないか!」 矢部「話は聞かせてもらったでやんす」ガチャッ あおい「矢部くん!」 聖「その対決、私たちが見届けよう」 SSWiki : 2: 以下、 矢部「というわけで、勝負の内容は公平にオイラたちで決めるでやんす」 みずき「OKよ」 あおい「望むところ! ピッチング勝負でもバッティング勝負でもなんでも来い!」 矢部「それじゃあ…勝負の内容でやんすが」 聖「今回はより魅力的な女性を競う勝負なのだったな。 なら…」 聖「 包容力。 これで競うのはどうだろうか」 あおい「包容力っ…!?」 みずき「なんだか私たちに縁の無い言葉な気がする…!」ガーン 5: 以下、 聖「そう、包容力」 聖「女子たるもの、殿方を優しく包み込む優しさこそが大事だ…と本に書いてあったぞ」 あおい「うっ…」短気 みずき「自信ない…!」短気 聖「パワプロ先輩のメンタルは豆腐のように脆い部分がある」 聖「だからこそ、この包容力を競いより優れた方が彼女になるべきなのではないか」 あおい「言われてみれば…」 みずき「その通りかも…」 矢部「と、いうことで…明日は1日、優しく寛大な態度で過ごすでやんす!」 矢部「100点満点で怒ったり暴力を振るったら減点。 最後に多くポイントを残してた方が勝利でやんす!」 6: 以下、 次の日 あおい「ふふ、ふふふ…」ニコニコ みずき「おほほほほほほ…」ニヤー 矢部「二人とも笑顔が引きつっているでやんすね…。 特にみずきちゃんは気持ち悪いでやんす」 みずき「はぁ!?」カチン 聖「みずき? 5点」 みずき「しまった!」95点 矢部「はぁ…。 本当に単純でやんすね。 どうかした?」 矢部「パワプロ君、今日あおいちゃんは朝御飯を5杯食べてきたらしいでやんす」 パワプロ「えっ」 あおい「は!?」 8: 以下、 あおい「そんなわけな…!」ハッ あおい「っ…!」 パワプロ「へ、へぇ?。 あおいちゃんって結構大食いなんだね」 聖(パワプロ先輩がちょっと引いてる…) あおい「そ、そそうなんだ…ははは。 いや、流石に5杯は言い過ぎだよ? 2杯くらいだよ?」 矢部「今日はきっと試合でも活躍してくれるでやんすよ。 体重を乗せた重い球を連発でやんす」 あおい「誰が重いってーっ!」ブチッ 矢部「ひっ! ストップ、ストップでやんすー!」 聖「あおい先輩、? ? あおいちゃんのお弁当はなんだか酷い有様でやんすね」 あおい「…」イラッ あおい「た、食べられれば問題ないから大丈夫だよっ」 あおい(うぅ…。 本当はこんなのパワプロ君に見せられないよ…。 けど、みずきに先を越されたくないし…) 11: 以下、 パワプロ「へぇ…。 あおいちゃんって凄いね!」 あおい「えっ…」 パワプロ「俺、自分で弁当作ることないし自分で料理して弁当作ってくるの偉いなって思うよ」 パワプロ「あおいちゃん頑張ってるんだね。 10点」83点 12: 以下、 みずき「せーんぱいっ。 わたし? 、お弁当作りすぎちゃったので少しどうですか?」パカッ パワプロ「わぁ…みずきちゃんのお弁当凄いね! 重箱に入ってる!」 あおい「本当だ! 凄い!」ガーン パワプロ「みずきちゃんも自分で…しかもこんなに作ってきたんだ。 美味しそうだなぁ!」 聖(本当は橘家の料理人が作っている…ということは言わないでおこう) みずき「先輩に食べてもらおうと思って努力しました。 ささ、どうぞどうぞ」 矢部「ふむ。 これは薄味でやんすね」モグモグ みずき「!」 みずき「や、矢部先輩も…どうぞ食べてください?」イライラ 13: 以下、 パワプロ「いいの? じゃあいただこうかなー」 あおい「うぅ…」 みずき(勝ったわ) 矢部「パワプロ君。 からあげが薄味だからレモンかけといてあげるでやんす」ブシュー パワプロ「」 みずき「ああああああああああああああああああああああああ!」 みずき「私の愛妻弁当に何してくれてんのよー!」バキッ 矢部「ぎはーっ!」 パワプロ「うわぁ…。 からあげがレモン漬けに」 聖「(暴力込みなうえ嘘もついてるから)? 15点だな」80点 14: 以下、 パワプロ「…」パクッ みずき「ええっ!? レモン漬けになっててすっぱいでしょ!? 食べなくても…」 パワプロ「折角みずきちゃんが作ってきたのに食べないわけにはいかないよ」ニコッ パワプロ「確かに少しすっぱいけど美味しいよ。 昨日のはまだ見てないけど…(パワプロ君のことずっと考えてたから…)」 みずき「私も最新話はまだ見てないわ(パワプロ先輩のことずっと考えてたから…)」 矢部「昨日の展開は本当にすごかったでやんすよ! まさか王子が死ぬとは思ってなかったでやんす!」 みずき「えっ…」 あおい「ちょっ…矢部くん! まだ見てないって言ってるのにネタバレするのやめてよ!!」 矢部「ぐふふふふふふ。 申し訳ないでやんす? 」クネクネ みずき「ぬあああああああ!」バキッ あおい「ああああああああ!」ボコォッ パワプロ「聖ちゃんは見てないの?」 聖「私も見てない。 勉強の時間に充ててるからな」 16: 以下、 放課後 監督「全員集まったな!」 パワプロ「はい!」 パワプロ「今日は練習試合だ! みんな張り切っていくぞー!」 あおい・みずき・矢部「おー!」 あおい「…試合中は流石に勝負は中断だよね?」 矢部「そんなわけないでやんす。 むしろ試合中の極度のピンチでこそ真の姿が見られるでやんす」 みずき「げっ…! 矢部先輩、エラーとかしないでよ?」 矢部「オイラがそんなことするわけないでやんすー!」 矢部「オイラは、ね…」ニヤリ 聖「…」 17: 以下、 7回表 あおい「…」 みずき「ああ…。 なんでこんな日に限って相手がここなのよ…」 ウグイス嬢『西京高校、選手の交代です。 代打・そこのお前』 カキーンカキーンカキーン あおい「相手が西京高校なんてストレス溜まるに決まってるよね…」 監督「選手交代! 投手早川!」 あおい「え゙!」 みずき「うわぁ…。 この状況で交代って…」 パワプロ「みんなー! ノーアウト満塁だけどしっかり守ってくぞー!」 ウグイス嬢『バッターは、4番・サード清本くん』 あおい「こんな状況で代えないでええええええええええっ!!」62点 18: 以下、 あおい「うわ…うあぁ」 清本「…」ズズズズズズズズズズズ あおい(怖い…! どこ投げても打たれる気がする…!) あおい(キレ2…一発…軽い球…!) あおい「うわああああああ!」ビシュッ 清本「!?」ストライーク 聖(短気発動?で155kmのストレート…。 アンダースローからこんな球が放られたら流石に打てないだろう) あおい「ひいっ!」ビシュッ…ククッ 清本「!」カコン… あおい「!! やった!? 打ち取った!」 聖(先輩の制球力と緩急でミスを誘えた…これなら!) パワフロ「ゲッツー行けるぞ!」 19: 以下、 あおい「…」セーフ 監督「ふむ…。 やはり1年生たちでは守備に不安がある、か…」 矢部「言い忘れてたでやんす。 今日の内野陣は全員守備力Gの1年生でやんす」 あおい「…」イライライライラ あおい「み、みんなー。 一つずつアウトとって行こうー!」イライライライライライライライラ … 聖「あおい先輩、ナイスボール」 あおい「はぁ…」 パワプロ「あの内野安打()の後しっかり無失点で切り抜けたのは凄いよ! 流石あおいちゃん!」 矢部「奇跡でやんすね」 あおい「本当に一生分の運を使い果たした気分だよ…」 パワプロ「聖ちゃんもナイスリードだったよ! さぁ!残る回もしっかり戦っていこう!」 20: 以下、 8回表 監督「選手交代! 投手・早川に代わって橘!」 みずき「よーし! サクっと抑えていくわよ!」 あおい「頑張れー。 モブでも西京打線は強力だからねー!」 みずき(あおい先輩はあの西京打線を1安打()に抑えたんだ…私も負けられない!) … みずき「ふぅー…やっぱり手ごわいわね」 パワプロ「ツーアウトー! バッター集中!」 聖(エラーと内野安打()でランナー一・二塁。 1点差でウチがリード…ここでこのバッターは怖いな) ウグイス嬢『3番ファースト滝本くん』 滝本「」ズズズズズズズズズズズズズ みずき「上等! 勝負!」 監督「選手交代!」 みずき「」 21: 以下、 監督「投手・橘に変えて山道!」 山道「っしゃあ!」 みずき「…」 山道「橘、良い投球だったぞ。 俺が必ず抑えてくるからな!」 みずき「…」 あおい「…」 聖「…」 パコーンパコーンパコーンパコーンパコーン みずき「こんな状況で替えるなああああああああああああっ!!」48点 22: 以下、 パワプロ「7点差か…やっぱり西京高校は強いな」 山道「あぁ。 だが全員が全力を尽くした良い試合だったな」 みずき「…」イライラ 監督「今日の試合は残念だったな。 みんな根性が足りないぞ!」 スカウト「橘は今日1安打1失点で負け投手か…評価下げとこう」 みずき「あああああああああああああああっ!」36点 パワプロ「くっ! 俺の力が足りなかったんだ…みんなゴメン」 聖「先輩は全打席ホームランじゃないか…」 矢部「今日の課題は投手陣でやんすね。 あおいちゃんもみずきちゃんも頑張るでやんす」 あおい「併殺打3回の矢部君が言うなー!」 23: 以下、 … パワプロ「ふぅ。 今日もお疲れー」 山道「パワプロ、帰りにミゾットスポーツに寄ってかねえか」 パワプロ「そうだなー。 新しいスパイクでも見に行くか! 矢部くんも一緒に行く?」 矢部「申し訳ないでやんす。 オイラは今金欠でやんす」 山道「そうか。 なら先に上がるぞ」 パワプロ「矢部君お疲れー。 先週貸した1万円明後日までに返してくれよー?」 矢部「わ、わかってるでやんすー!」 パワプロ「あ、聖ちゃんもお疲れー」 矢部「…」 矢部「ぐふふふふふ。 さて、お楽しみはこれからでやんす!」 24: 以下、 みずき「はぁ…。 今日は散々だったわ」ヌギッ あおい「本当にね…。 矢部君にこれでもかって嫌がらせされるし試合は負けちゃうし」 みずき「…あのメガネ、明日会ったらタダじゃおかないんだから」 あおい「ボクも同じ気分だよ。 …ところで」 あおい「結局…どっちが勝ってるんだろう」 みずき「…」 あおい「試合中はがむしゃらにやってたから忘れてたけど…ボクたちかなりキレてたよねぇ」ヌギヌギ みずき「そうですねぇ…。 採点係の聖も呆れた顔してましたし」 あおい「やっぱり大人の女性は怒ったりしないんだろうなぁ…」 みずき「暴力振るったり物に当たったりとかは論外ですよねぇ」 あおい・みずき「はぁ…」 矢部(ぐふふふふふふ! 試合でくたびれてる二人の下着姿は最高でやんす!) 25: 以下、 あおい「ん…!? や、矢部くん!? そこで何してるの!?」 みずき「えっ…!? っ女子更衣室の壁にこんな穴が開いてたなんて…! 覗きじゃないこれ!」 矢部「チッ、バレたでやんすか。 まぁ、二人とも短気すぎてポイントが0点切っちゃうくらいでやんすからね」 あおい「なっ…!」 矢部「こーんな二人と彼女になったらパワプロ君は毎日怒られっぱなしになっちゃうでやんす。 可愛そうでやんす」 あおい「…!」 みずき「っ…」 矢部「そうと分かれば早パワプロ君に報告でやんす。 二人がオイラにしてきた暴力の数々を…」 矢部「さっきの悪口も罵言もこのテープレコーダーに録音してるでやんすし」 みずき「え…」 矢部「きっと幻滅するでやんすね。 パワプロ君、オイラに優しいでやんすから」 27: 以下、 みずき「ま…待って! 下さい…」 矢部「うーん? なんでやんすか?」 みずき「…言わないで…パワプロ先輩に私たちのことを言うのは…」 あおい「やめて…ください…矢部君のしたことは言わないから…」フルフル 矢部「まぁそこまで言うならいいでやんすよ?」ニヤリ 矢部「いやぁ、寛大な対応感謝でやんす。 オイラも流石にブタ箱行きはゴメンでやんすからねぇ」 矢部「はっはっは。 もう既に先生にも一報入れているぞ」 矢部「ひげええっ!? ま…マジでやんすか」 聖「じきにここに駆けつけるだろう。 …だがその前に」 聖「辞世の句を詠むのなら今のうちだぞ、矢部先輩」ブチッ 矢部「ひえええええええっ! 聖ちゃんがキレてるでやんすー!?」 29: 以下、 矢部「ま、待つでやんす! これは…そう! 愛のムチでやんす!」 矢部「二人があまりにも短気すぎるからパワプロ君との関係とか諸々のことを思って…」 聖「言い訳をする人間に進歩はないぞ」ユラリ 矢部「はっ! お、オイラに何かしたらぱぱパワプロ君にいい言いつけてやるでやんすよ!」 聖「私は別にパワプロ先輩に嫌われたって構わない」ユラ… 矢部「ひいいっ! バットは! バットは野球の道具でやんすー! 高校球児たるものバットは大事にし」 聖「これはバットではなく卒塔婆だぞ。 そして…ゴメンね」 聖「え…」 みずき「私たち、いつも感情的になって聖やみんなに迷惑かけてるでしょ? だから…ゴメン」 聖「みずき…、あおい先輩…」 32: 以下、 聖「…二人とも、感情的なのはそんなに悪いことなのか?」 あおい「えっ? だって、すぐ怒るし…」 みずき「暴力振るったり酷いこと言うのはやっぱりダメよね。 こんなんじゃパワプロ先輩の彼女なんて無理」 聖「…そんなことはないと思う」 みずき「えっ…?」 聖「感情的で短気というのは、裏を返せば表情豊かだという事じゃないか」 聖「パワプロ先輩の趣味はよく分からないが、少なくとも表情豊かで明るい二人のことを嫌いではない…と、思う」 聖「勿論攻撃的なのは良くないが、かと言って感情を抑制してたら保たないだろう」 あおい「あ…」 みずき「確かに…そうかも!」 聖「包容力はこれから磨いていけばいい。 少しずつ成長していけばパワプロ先輩も喜ぶだろう」 34: 以下、 みずき「聖、今日はもう本っ当ーに有難う! もう大好き!」 あおい「後輩にここまで言われたら頑張るっきゃないよね。 家まで送ろう」 聖「む…」 パワプロ「さ、行こうか。 それなら良かった…」 聖「…」 聖「パワプロ先輩。 急な質問をしてもいいか?」 パワプロ「うん? 別に構わないけど」 聖「パワプロ先輩はみずきやあおい先輩のことは好き…か?」 パワプロ「えぇっ!? す、好きって…」 聖「言葉通りの意味だぞ」 パワプロ「え、えぇ? …」 パワプロ「…」 パワプロ「好きだよ。 二人とも表情豊かで明るいし、話してて楽しいしね」 聖「…そうか」 37: 以下、 聖(やはりパワプロ先輩は二人のことを好いているみたいだな。 良かった…) 聖「パワプロ先輩は表情豊かで明るい女の子が好きなのか?」 パワプロ「うん? まぁそうだね」 聖「そうか…」 パワプロ「…」 パワプロ「ねぇ聖ちゃん、ちょっと手だして?」 聖「??」 パワプロ「はいこれ、今日の練習試合で頑張った聖ちゃんにプレゼント!」 聖「む…こ、これは!!」 聖「パワ堂のきんつば…!」パアアアアアアアア 38: 以下、 聖「いいのか! パワプロ先輩!」ワクワク パワプロ「もちろん、聖ちゃんに食べてもらいたいと思って買ってたんだしね」 パワプロ(本当は明日、聖ちゃんのお弁当の一品と交換するために買ったんだけど) 聖「やった…嬉しいぞ、パワプロ先輩」ニコッ パワプロ「どういたしまして。 …ふふ、聖ちゃんは可愛いなぁ」 聖「! か、可愛い…」 パワプロ「さっきの話だけど、俺は表情豊かな明るい女の子は好きって言ったよね?」 パワプロ「だからさ、あおいちゃんやみずきちゃんも好きだけど…」 パワプロ「こんな風に明るく笑ってくれる聖ちゃんのことも大好きだよ」 聖「なーーーっ!」 39: 以下、 聖「うぅ…」 聖(ズルいぞ、先輩…。 驚いた聖ちゃんも可愛いな」 聖「な…なな…」 パワプロ「ふう。 またいつかいい機会が来るよな…」 41: 以下、 次の日 あおい「こんなに朝早くに登校してるなんてみずきは偉いねぇ」 みずき「あおい先輩こそ?。 何か用事でもあるんですか? 」 あおい「ボクは今からパワプロ君の家にパワプロ君を起こしに…」 みずき「だーかーら! 昨日それはナシだって言ったじゃないですかー!」 あおい「約束はしてないからいいの! …って、あれ?」 みずき「ん? 聖じゃない、こんな朝早くからどうしたの?」 聖「…」 聖「あおい先輩、みずき…私は二人に謝らないといけないことがあるんだ」 あおい・みずき「??」 聖「実は、私も…パワプロ先輩のことが好きなってしまったんだ…」 42: 以下、 あおい「…」 みずき「…」 聖「本当にすまない…。 こんな裏切りは」 あおい「…そっか。 まぁでもそれは仕方ないよね」 聖「え…」 みずき「そうですね。 むしろ惚れない方がおかしいよ」 みずき「強すぎでしょパワプロ先輩…」 43: 以下、 あおい「だからさ、聖。 謝る必要なんてないんだよ」 みずき「私たちは包容力豊かな女だしね! …そーれーよーり!」 聖「な、なんだ…」 みずき「そうと分かれば今日からはライバルなんだからね! 聖!」 あおい「正直、パワプロ君は聖ちゃんのこと好きなんじゃないかって思うことがあるんだよね…。 でも諦めないよ!」 聖「みずき…、あおい先輩…!」 聖「私も、負けない…!」 あおい「ふふ」 みずき「よーし! それじゃあ早パワプロ先輩を起こしに行かなきゃ! 私がいっちばーん!」 あおい「ああっ! ズルいみずき!」 聖「走力Fの私では追い付けないぞー!」 44: 以下、 パワプロ「ん? なんだか家の中が騒がしいな…。

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